冷蔵庫を横倒しで運んでも大丈夫？｜横倒しで運ぶ・寝かして運ぶのはNG？

生活に欠かせない家電の一つである冷蔵庫。引っ越しを行う際に必ず行うのが荷物の運搬です。特に大型家電の冷蔵庫は慎重に扱いたいものです。そんな冷蔵庫の正しい運搬方法をご存知でしょうか。引っ越しで車に積む際など、正しく運ぶためにも知っておいて損はありません。

多くの皆さんは冷蔵庫を横にすると壊れてしまうとお考えではありませんか？確かに冷蔵庫は縦向き運搬が推奨されていますが、横倒しにしてしまったからといって、すぐに壊れてしまうわけではありません。その後の対処によって故障も防げます。

今回は冷蔵庫の正しい運搬方法や横にして運搬する際の対処法などを紹介します。寝かせて運ぶなど、冷蔵庫を横にして運んでも大丈夫かについても解説するので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

冷蔵庫は圧縮機（コンプレッサー）によって、気体の冷媒ガスを液体に変えます。さらに、この液体が配管を通って庫内を冷やす仕組みとなっています。コンプレッサー内には、液体を運ぶために必要なオイルが格納されており、長時間横倒しにするとオイルが配管内に流れ込みます。

引っ越し先で冷蔵庫の電源をすぐに入れようとすると、配管内に流れたオイルと液体を一緒に圧縮しようとコンプレッサーが動き出します。これによって、コンプレッサーに負荷が掛かってしまい、冷蔵庫が故障してしまう場合があるので覚えておきましょう。また、フロン・ノンフロンといった冷媒の種類は関係ありません。説明書の注意書きや本記事の解説を守って使用しましょう。

トラックの荷台に冷蔵庫を横向きにして運搬する場合、その上に重たい荷物を載せることはおすすめできません。なぜなら、冷蔵庫のドア部分やトレイなどの収納部分を変形させてしまう恐れがあるためです。

先ほど説明したコンプレッサーのように、直接故障に結び付くことありませんが、冷蔵庫が使いにくくなってしまうことは否定できません。そのため、運搬する際は冷蔵庫の上に重たい荷物は置かないようにしましょう。

冷蔵庫は長時間傾けていると冷媒ガスが漏れたり、コンプレッサー内部にピストンやシリンダーの潤滑油が配管に入り込んだりします。

ただ、配管の向きが確認できている場合は、パイプを逆側にすればオイルが流れ込むのを防げます。オイルが入り込むと冷蔵庫の故障の原因になってしまいますが、横に傾けたとしても一時的に傾けるくらいであればOKです。また、真横になるのを避け、倒しすぎないようにすれば流れ込むのを防止できます。

冷蔵庫は、「1時間」など時間に関係なく、横倒しにした時点で故障する可能性があります。横に向けた状態が長時間になればなるほど壊れる確率が高まっていくため、立てられる状態になったらすぐに立てましょう。

引っ越しなどでどうしても一時的に冷蔵庫を横倒しで運ばなければならないときは、すぐに縦に戻してください。

やむを得ない事情で、冷蔵庫を横倒しで運搬した際は、1日以上置いてからコンセントを差して電源を入れるようにしましょう。中の液体が冷却システムに入り込んでいる可能性があり、これが元に戻るのを待つためです。

また、電源を入れたあとに冷気が出なかったり、正常に動かなかったりする場合は故障している可能性があります。その際は、購入した販売店やメーカーに問い合わせるようにしてください。

遅くとも引っ越しの前日までには、冷蔵庫の中身を空にしておきましょう。前もって計画的に食材を消費しておけば、食品ロスの削減にも繋がります。どうしても当日までに使い切れない食材や調味料は、クーラーボックスまたは発泡スチロールなどに保冷剤を入れて運びましょう。

ただし、夏場での引っ越しの場合、生鮮品や冷凍食品などは傷みやすいため、思い切って処分してしまったほうがいいかもしれません。どうしても処分するのがもったいないと考えるのであれば、クール宅急便などを活用して新居に送ることを視野に入れましょう。

冷蔵庫を運搬するには、あらかじめ霜取りや水抜きを行っておく必要があります。霜取りとは冷蔵庫内にできた霜を溶かすことで、水抜きは蒸発皿に溜まった水を捨てることをいいます。

最新の冷蔵庫なら「自動霜取り機能」が付いているので、霜がめったにつきませんが、念のために電源を切っておきましょう。夏場なら10時間、冬は15時間ほどで霜取りが完了します。 次に水抜きですが、製氷機の氷や蒸発皿の水受けを捨てる必要があります。とくに、蒸発皿は冷蔵庫によって設置場所が異なりますので、取扱説明書を利用して確認しましょう。

大きい冷蔵庫の場合、背面下部にあるキャップを外して、ドライバーなどの先端が尖ったものを活用して穴を開け、冷蔵庫を傾けることで水抜きができます。

引っ越しなどをするタイミングでなければ、冷蔵庫の中身が空の状態、かつ電源を落とす機会も少ないことから、隅々まで掃除するいい機会です。

冷蔵庫掃除は、下記の手順で行いましょう。

1. まず棚やポケットなどのパーツを取り外す
2. シンクなどにお湯を溜めて台所用洗剤を使い、スポンジで汚れを洗い落とす
3. きれいに汚れが落ちたら、しっかりとすすぎ、乾いたタオルなどで拭き上げる
4. 庫内掃除は、雑巾などに台所用洗剤を湿らせて全体的に拭いていく（特に頑固な油汚れなどは、60℃くらいのお湯と洗剤を増やすことで落ちやすくなる）
5. 仕上げに消毒用のエタノール、または薄めた漂白剤を布に含ませて、コードやコンセントなどを全体的に吹き上げて完了

冷蔵庫は普段、軽い力でドアや引き出しの開閉を行っています。運搬中にドアが開いたり、引き出しが飛び出してしまっては、思わぬ事故につながります。ある程度の強度のあるテープでドアや引き出しを固定しておけばそうした可能性を減らせるので、運搬前に忘れず行っておきましょう。また、庫内の棚や仕切りについても、マスキングテープなどで固定しておくのがおすすめです。

賃貸物件などの場合、冷蔵庫の運搬中に誤って床や壁を傷つけると、修繕費用を請求されてしまうかもしれません。そのため、冷蔵庫を横向きで運ぶのであれば、まずは古い厚手の毛布で冷蔵庫を包み、側面を下にして運んでください。

本体損傷の防止にもなりますし、床や壁を傷つける可能性も低くなります。さらに、ロープや紐のようなものを冷蔵庫に巻き付けると運びやすくなるので上手く活用しましょう。

冷蔵庫のような重量物は、必ず2人以上で運ぶようにしましょう。特に段差がある場所では複数人でなければ運べません。冷蔵庫の重量は小さいものでも20kg以上ありますが、ファミリータイプなら50kg以上あるものがほとんどです。

そのため、小型のものでも1人で運ぶと腰を痛めたり、運搬中に床や壁を傷つけてしまう可能性があります。また、冷蔵庫は下側が重くなっているので男女ペアで運ぶ際は、男性が下側を持つようにしましょう。

冷蔵庫の中には、冷蔵や冷凍機能を保つために必要な主要機器が設置されています。精密なため運搬業をしたことのない人が、冷蔵庫を横向きして運ぶと壊れてしまう可能性があります。できる限り、縦向きで運ぶようにしましょう。

150Lの冷蔵庫の重量は約30kgです。男性であれば、1人でも運べる重さです。ですが、運搬は基本的に2人以上で行った方が安全です。冷蔵庫が壊れるリスクや大型車両を手配する手間などを考えると、引っ越し専門業者の方に依頼したほうがいいかもしれません。

冷蔵庫を設置する際は周囲に放熱スペースを確保してください。放熱スペースがないと冷蔵庫の稼働効率が悪くなり電気代が余計にかかってしまいます。

必要な放熱スペースは機種によって異なりますが、左右0.5cm以上、上部5cm以上が一般的。取扱説明書に適切なスペースが記載されているので、設置前に必ず目を通しましょう。

また、冷蔵庫の横の隙間を収納スペースとして活用する場合も放熱スペースの確保が必要です。以下の記事では冷蔵庫横の隙間収納について詳しく解説しています。気になる方は参考にしてくださいね。

引っ越し先に冷蔵庫を縦積みにして運搬した場合、設置後すぐに電源を入れても問題ありません。しかし、横向きにして冷蔵庫を運搬した場合、コンプレッサー内のオイルが配管に流れ込んでしまっている可能性があります。 そのため、すぐに冷蔵庫の電源を入れるのは故障の原因に繋がりますので控えましょう！

横向きでの移動時間にもよりますが、最低でも2時間、または1日以上経ってから電源を入れるのがおすすめです。

冷蔵庫の寿命は使用状況によって異なりますが、一般的には約10年が目安とされています。使っている冷蔵庫が10年以上経過しているのであれば、新しい冷蔵庫の購入を検討してみるのも一つの手です。もし買い替えをする場合は現在使用している冷蔵庫は中古で売りに出すかリサイクルに出すなど、適切な処分が必要になります。

冷蔵庫を設置する際には、放熱のためのスペースを空けておかなければなりません。冷蔵庫の上部は50ｍｍ以上・左右5mm以上の空間を空ける必要があります。背面は基本的には空ける必要はありませんが、湿気の多い環境では結露の心配があるため壁から30ｍｍ以上離しておくようにしましょう。

他にも、コンセントが背面側にある・振動音・壁の汚れや変色などが気になる場合にも、壁から離しておくのがおすすめです。

何を重視するかで依頼する引っ越し業者は変わってきます。たとえば、信頼感で選びたい方はアート引っ越しセンターなど大手の業者がおすすめですし、いろいろなサービスを提供している業者がいい方はアリさんマークの引越社などがおすすめです。

他にも安さだったり、無料資材の量だったり人によって重視するポイントは違いますよね。ぜひ自分に合った引っ越し業者をさがしてみてください。

引っ越しの際、冷蔵庫を横に倒して運ぶとコンプレッサーが故障するかもしれないので、基本的には立てた状態で運搬するようにしましょう。どうしても横向きにしなければ運搬が難しい場合は、引っ越し専門の業者に依頼するようにすると安心です。