冷蔵庫のチルド室とは？入れてはいけないものはある？｜使い方や凍る理由も解説

冷蔵庫のチルド室は、刺身や生肉などすぐには食べないけれど、冷凍したくない食材を保存するのに向いています。しかし、チルド室なら大丈夫だと思っていたのに、食材が凍る・傷むなどの失敗はありませんか？ 

チルドとはどういうものなのか、何入れるべきか冷蔵庫チルド室に入れるもの・チルド室に入れてはいけないものなど使い方をしっかり理解していれば、食材を無駄にせずに有効活用できます。また、チルド室がない冷蔵庫でも、チルド室のように使う方法もあります。

この記事では、チルド室とはどこか・温度や上手な使い方・高機能真空チルドルーム・氷温やパーシャルの違いなどを解説します。チルド室付きのおすすめ冷蔵庫も紹介しているので、合わせてチェックしてみてください。

チルド室は中型以上の機種についており、チルドとは冷蔵室内にある最下段の透明ケースです。大型冷蔵庫ではチルドからパーシャル・氷温ルームへと切り替えが可能な場合もあります。また、小型冷蔵庫は冷蔵室ぼ最上段に設置されている場合もあるのであらかじめ確認してください。

チルドとは「冷却・冷やす」を意味する英語です。日本工業規格によって約0℃と規定があり、この温度だと食材が凍り始める寸前まで冷やせるため、長期保存が可能になるためチルドが使われています。

一般的に冷蔵室の温度は2〜5℃なのに対し、チルド室は約0〜3℃と食品が凍る一歩手前の温度になります。冷蔵室よりも温度が低いので長期の保存ができるため、ヨーグルトなどの乳製品やゆでうどん・魚肉の練り物など凍らせたくない食品の保存に最適です。

また、チルド室は蓋のついた小さな空間なので、冷蔵庫の開閉の影響を受けにくい場所です。そのため、日持ちが心配で少しでも長持ちさせたい食材の保存におすすめします。

チルド室はそもそも、室温が0〜3℃と凍る一歩手前の温度なので凍ってしまっても正常といえます。また、吹き出し口から出てくる冷気の当たり方や、食品の水分量によって凍りやすくなる場合もあります。チルド室で凍らせたくないときは、冷気が直接当たらない場所へ収納してください。

日本工業規格(JIS)により、氷温は約-1℃・パーシャルは約-3℃と定められています。氷温は凍り始める一歩手前の状態で、刺身やスライスした状態の肉の保存に向いています。

パーシャルは部分凍結や微凍結を表し、食品をわずかに凍らせるので肉や魚を鮮度を保って保存ができます。また、真空チルド室も搭載モデルは少ないものの人気です。チルド室内の酸素を減らし真空状態にして食品の酸化を防ぎ、生鮮食品の鮮度をキープし食材が長持ちします。

刺身や肉など新鮮な状態で楽しみたい場合は氷温、水分が多めの食材や下ごしらえした食品の保存には真空チルド、鮮度を保ちつつ解凍の手間を省き時短を目指したいときはパーシャルがおすすめです。

チルド室は冷蔵室よりも温度が低いため、賞味期限の短いものを保存するのに役立ちます。冷蔵庫チルドに入れるものは、具体的には下記のようなものを保存するのがおすすめです。

• 肉・魚介類などの生鮮食品
• ハム・ソーセージなどの加工品
• かまぼこなどの練り製品
• 味噌など発酵食品・ヨーグルトやチーズなどの乳製品
• 漬物・キムチ

野菜は基本的に野菜室に入れますが、特に傷みやすいもやしやブロッコリーなどは、チルド室に入れると鮮度を長く保てます。

チルド室の方が鮮度が高く保たれるからと、何でも入れてしまうのは間違いです。水分を多く含む食材は凍りやすいです。特に下記のようなものは配慮が必要です。

• 豆腐など水分の多い食材
• マーガリン
• ビール
• ペットボトル飲料
• 卵

水分が多い食材は、例外として真空チルドの場合は保存できます。また、ビールをチルド室で長期保存するとにごりやすく、風味も落ちてしまいます。基本的にビールは冷蔵室に保存してください。冷えたビールが飲みたいときは、飲む直前にチルド室に移すのがおすすめです。

冷蔵庫のチルド室以外の、冷蔵室・野菜室・冷凍室ではどのような食品の保存が適しているのかを以下で確認してみます。

冷蔵室には作り置きのおかず・卵など、使用頻度が高く早めに使い切りたい食品の保存が最適です。野菜室は冷蔵室よりも温度・湿度が高めに設定されており、乾燥による傷みを防いで長持ちできるため、野菜や果物の保存に適しています。

また、冷蔵室には棚があり、位置によって出し入れのしやすさが変わります。よく使うものは手が届きやすい下段・中段に、使用頻度が低く長期保存が可能なものは上段に入れるのがおすすめです。野菜室に野菜や果物を入れる場合は、水気が付いたままだと傷みやすいため水気をしっかりと切ってください。

冷蔵庫にチルド室があっても、冷蔵室とチルド室の違いをよく知らずに使っている方も多いですよね。チルド室を有効活用するための便利テクを紹介しますので、ぜひ参考にして活用してください。

• 賞味期限が近い食品を保存
• お菓子の生地をさっと冷やす
• 料理の下ごしらえでサラダ（生野菜）などの鮮度を保つ
• 0℃の温度を利用して、ドリップ（食材から出る水分）が少ないままじっくり解凍

チルド室（0～2℃）は冷蔵室（3～6℃）よりも少し温度が低めに設定されています。ちょうど食材を凍らせずに鮮度を保てる絶妙な温度で、急速に冷やせるのに凍らないのもポイントです。

肉や魚をチルド室で保存する際、消費期限に関わらず2〜3日以内が日持ちの目安となります。しかし、もともとの鮮度が低い場合や消費期限の短いミンチ肉などは、1日以内の保存にとどめ使い切りましょう。

特に夏は庫内の温度が上昇し、食材の傷みが早くなってしまいます。すぐに使う予定がない場合は冷凍保存するのをおすすめします。

冷蔵庫にチルド室がない場合は、冷蔵室を代わりに使用しましょう。冷蔵室はチルド室の次に温度が低く、特に下の方は冷気が溜まり最も冷えています。そのため、肉や魚などをチルド室以外で保存する場合は、最も冷却効果のある冷蔵室の一番下の段がおすすめです。

冷蔵庫はファンを回して冷気を循環させ、庫内を冷やす仕組みになっています。そのため、食品を詰め込みすぎると冷気が庫内全体に届きにくくなり、適切な温度で保存ができなくなってしまいます。食品を詰めすぎず余裕をもって収納してください。

特に、パーシャルやチルドは温度が変わると食品の劣化につながってしまうので、詰めすぎず7〜8割程度の容量を守りましょう。また、冷蔵室だけでなく野菜室も食品が多すぎると温度が下がりにくくなるので、まとめ買いや作り置きは適量にしてください。

まるごとチルドはホウレンソウなどの葉物野菜が保存できます。約2℃の低温だから野菜の呼吸活動が抑えられるので、ビタミンCが守られます。低温保存ができるので、食品の菌の繁殖を抑えて鮮度を長持ちさせます。

また、真空チルドの製品もあり、肉や魚の鮮度を長持ちさせたい方におすすめです。食品が劣化する原因の一つが酸化です。真空チルドは、酸素を約20%減らし食品の酸化を抑えてくれます。しかし、現在は真空チルドを搭載した製品は少ないようですので検討してみてください。

冷蔵庫の機能に「チルド」を使用しているのは、大手では東芝とシャープの2社です。中でも注目したいのが、東芝のチルドルームに採用されている「解凍モード」です。カチカチに凍った肉や魚を約30分と驚異的なスピードで、包丁が通るまでの急速解凍を可能にしています。

急速解凍をしてもドリップの流出を抑えるため、美味しさを保てるのもポイントです。ただし、アルミトレイの熱伝導率を利用するため、食品トレイから出して解凍する必要があります。

チルドルームを開けたときの「プシュー」といった音がしないなど、チルドルームが壊れたと思えるときはどうすればいいのでしょうか。まず、物が挟まっていないかを確認し、霜や氷が付着している場合は、説明書を確認しながらお手入れしてみましょう。

ドアが外れてしまっている場合は、無理に力を入れると破損の原因になります。メーカーの取り付け方を確認しながら丁寧に行いましょう。それでも改善しない場合は、購入した販売店へ連絡するか、修理相談窓口へ連絡してみてください。

フリーケースは、メーカーや機種によってさまざまです。たとえば、東芝のVEGETA GR-R600FZでは、小物が入れられるフリーケースに卵スタンドが付属しており、自分の好きなところに配置ができます。グリップ式の持ち手を採用。GR-R500GWでは、350mlの缶が10本入るグリップ式ケースも登場しました。

シャープのSJ-D15Jでは、左右開きの自由度の高さに合わせて、フリーケースに野菜や食材をわかりやすく分類して収納できます。リーズナブルさが人気のアクアでは、低温フリーケースと呼ばれる肉・チーズなどの生鮮食品の保存にぴったりなタイプが搭載されています。

それぞれの特性をチェックしながら、自分の用途に合ったものを選んでください。

冷蔵庫のチルド室について、その役割や上手な使い方を紹介しました。チルド室をうまく活用すると食材が長持ちでき、より美味しい料理を作れます。チルド室を有効に活用して、毎日の食生活をより楽しいものにしましょう。