冷蔵庫の適切な温度設定は何度？外気温の影響はある？温度の測り方も紹介

冷蔵庫に入れておいたのに、「食材が傷んでいた」「飲み物が冷えていなかった」という経験はありませんか？もちろん冷蔵庫そのものに問題が起きている可能性もありますが、意外と多い原因が「食材を入れる場所を間違えていた」ということです。

冷蔵庫内は各部屋によって、特に良く冷える場所や、温度が少し高めの場所などに分かれています。食材の鮮度をより長持ちさせたいのなら、各部屋の温度を的確に把握し、どの食材をどこに保管するのかという点がとても重要になってきます。

そこで今回は、冷蔵庫の温度設定は何度がいいのかや、勘違いしやすい食材別の保管場所、外気温・室温の影響などについて詳しくご紹介します。これまで冷蔵庫の温度設定を一度もいじったことがないという方も、ぜひ参考にしてみてください。

冷蔵室はたくさんの食材を入れることができる広い空間で、冷蔵庫のメインとも言える部屋です。日常的に使用する食品や、調理済みのおかずなどの保存に適していますが、冷蔵室の中でも場所によって温度が異なります。

冷気は下の方に溜まりやすい性質を持っているので、上段に比べ下段の方が温度は1℃～2℃低くなっており、冷気の吹き出し口近くも冷えやすい傾向にあります。そのため、鮮度が落ちやすい食品は吹き出し口近辺に置き、冷やし過ぎたくないものは上段の手前側に置くことをおすすめします。

野菜室は収納のスペースが広く、大きめの野菜でもたくさん入れておくことができます。野菜室の温度は、冷蔵庫の中では最も高く設定されています。その理由は、乾燥しやすい野菜は低温障害を起こしやすいからです。また、乾燥を防ぐため湿度も高めの設定となっています。

野菜は日当たりのいい所では呼吸が活発になり、野菜を劣化させる成分「エチレン」が増加し鮮度を落としてしまいます。日を当てず低温を維持できる野菜室は、野菜の保管場所としては最適です。

冷凍室は、食品の劣化や変質を防ぐことができるので、長期保存に便利な場所です。魚や肉、冷凍食品などを保管するのに適しています。

冷凍室は、実は食品を多めに詰め込んだ方が、蓄冷効果により冷凍室全体を効率よく冷やすことができます。また、隙間を作らず並べることで保冷力がアップするので、できるだけ食材を立てて保存するか、ジッパーバッグに詰め平らに広げて入れるのがおすすめです。

給水タンクに水を注いでおけば、自動的に氷が作られ製氷室に保存されます。温度調節が「弱」になっていたり、ドアの開け閉めを頻繁に行う、または半ドアになっていると、しっかりと冷えずに氷が溶けてしまいます。

冷凍や冷蔵以外でさらに温度を細かく設定し、食材をより最適な温度で保存することを可能にするのが「チルド」もしくは「パーシャル」です。いずれも「-18℃以上5℃以下」という点は共通ですが、JIS規格で定められている温度がそれぞれ異なります。

• チルド「約+1℃と規定」

食材が凍る直前の温度であるため、納豆・ヨーグルトなど、凍らせたくない食材を冷蔵保存よりも長持ちさせたい場合に便利です。

• パーシャル「約-3℃と規定」

少し凍っている状態の-3℃なので、刺身などを解凍することなく切ることができ、美味しさも保つことができます。

チルド室の正しい使い方は、以下の記事で紹介しています。

冷蔵保存する野菜は、そのまますべて野菜室へと思っていませんか？野菜の中には野菜室での保管は適していないものがあります。

まず、レタスやキャベツなどの葉物野菜は豊富なビタミンCを失いやすいため、温度がより低い冷蔵室での保存が最適です。次に、ブロッコリーは涼しい環境の方が長持ちするので、冷蔵室がおすすめです。

また、もやしは低温であるほど呼吸を抑制し、劣化速度を緩めます。購入してすぐに使用する場合は野菜室でも問題ありませんが、長持ちさせたいのなら冷蔵室に入れておきましょう。

扉裏のドアポケットは何度も開け閉めすることにより、温度の状態が変わりやすい場所です。そのため、温度変化の影響を受けやすい以下の食材は置かないようにしましょう。

炭酸飲料は、振動を受けると炭酸が抜ける恐れがあります。ペットボトルの炭酸飲料をよく購入する方は、冷蔵室に置くことをおすすめします。

マヨネーズは卵黄・酢・油を原材料としているため、低温状態にあると分離しやすくなります。温度が低すぎる冷蔵室も適していないので、常温保存か温度が高めの野菜室で保存しましょう。

卵をドアポケットに置く方は多いと思いますが、卵は温度の変化に弱いため、鮮度が落ちやすくなります。卵は冷蔵室に入れておきましょう。

納豆・キムチ・ヨーグルトなどの発酵食品を、凍結に近い温度設定のチルド室で保存することで、発酵を遅らせて鮮度を長持ちさせます。また、漬物やキムチの美味しさを保ち、酸っぱく変化してしまうことを防ぐ効果もあります。酸味を味わうために早く発酵させたいのなら冷蔵室での保存など、使い分けることもできます。

サラダを調理する時に、トマトやレタスなどの生野菜をチルド室に入れることで、パリッとした新鮮な食感を得ることができます。冷水にさらす必要がないので、栄養素や旨味が水に溶け出してしまう恐れもありません。

作ったサラダをしばらく保管しておきたい時も、チルド室がおすすめです。温度が低いので、家族の帰りがいつになるか分からなくても、生野菜の鮮度を保つことができます。

冷蔵室よりも温度が低いチルド室では、じっくりと時間をかけて解凍することも可能です。ドリップが少なくなるので、肉や魚の美味しさ・風味を逃すことなく調理できます。特に挽肉は、空気に触れる面積が大きい分色が変わりやすいですが、チルド室では変色を起こしにくいです。

室内で自然解凍をする方もいるかと思いますが、衛生的にもチルド室を使用した方が安全です。

冷蔵庫内の温度の目安が分かっても、実際に何℃なのかが分からなければ、比較することができません。冷蔵庫専用の温度計なら手軽に計ることができますが、温度計がなくても計ることができます。

冷蔵庫専用の温度計を設置するだけで、温度を手軽に測定できます。一目で温度が分かるタイプのものが多いですが、温度計には以下のようなさまざまな種類があります。

• 冷蔵庫内に置くタイプ
• マグネットタイプ
• 吸盤タイプ
• 冷蔵庫の外側に密着させるコードタイプ

コードタイプの温度計には、冷蔵庫内と室内の温度を同時に測ることが可能な製品があります。冷蔵庫内外の温度差を最小限にすることが重要になってくるので、とても重宝するタイプです。また、適正温度が確認できるタイプなどもあり、使用目的に応じた便利な温度計が増えています。

以下の記事では、冷蔵庫用の温度計について紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

冷蔵庫専用の温度計がなくても、普通の温度計と水で温度を測定する方法があります。しかし、計測のためにドアの開閉を行うと、外気が冷蔵庫内に侵入することで温度計が影響を受けてしまうため、正確な測定を行うことができません。

まず、冷蔵庫内で平均温度の目安となる冷蔵庫中段のトレイ中央部分に、水を入れたコップを一晩置きます。そのコップに温度計を入れ、3時間ほど水に浸し測定します。

冷蔵庫は1年中同じ温度に設定していると、外気温によって適正温度を維持できなくなります。食材をよりいい状態で保存するには、季節ごとに温度設定を変えていく必要があります。

冷蔵庫内は、外気の影響で温度が変化しやすいです。気温が高い夏は冷蔵庫内の温度も高くなり、気温が低い冬は冷蔵庫内の温度も低くなりがちです。そのため、季節ごとに冷蔵庫内の温度設定を変えれば、電気代の節約にもつながります。

夏に入る前、冬に入る前など、季節の変わり目に温度設定を変えるのがおすすめです。夏は「強設定」、冬は「弱設定」にするだけで、節電効果が表れてきます。

冷蔵庫は周囲の気温に影響を受けやすいので、設置場所の温度にも注意する必要があります。台所に冷蔵庫を置いている方は多いと思いますが、火を使用する台所では室温が高くなりがちです。コンロの近くは特に温度が上がりやすいので、冷蔵庫は離れた所に設置しましょう。

また、暑い季節は冷蔵庫そのものも熱を帯びやすくなり、狭い場所に冷蔵庫を置くと熱がこもりがちです。風通しがよく涼しい場所に置き、クーラーをうまく活用することも必要です。

冷蔵庫内の温度は、外気が入り込むことによって一気に上昇するため、扉の開け閉めは素早く行い、必要最低限に抑えることが重要です。食材をスムーズに取り出すため、冷蔵庫内は常に整理しておき全体を見渡せるようにしておきましょう。

使用する頻度の多い食材は手前側に置き、種類ごとにかごに入れて分けるといった工夫も有効です。かごに入れる場合は、中身が見やすい透明のものや、冷気がなじみやすいメッシュ素材のタイプがおすすめです。

以下の記事では、冷蔵庫の整理におすすめのグッズを紹介しています。

冷蔵庫内に食材を詰め込み過ぎていると、冷気の流れが悪くなり全体が冷えにくくなってしまいます。冷蔵庫に食材を入れる時は、できればスペース全体の5割、多くても7割ほどに抑えるのが理想です。

詰め込み過ぎることを防ぐために、冷蔵庫に入れるものを厳選するといいでしょう。常温でも保存できるものは冷蔵庫に入れず、買い物の量も必要最低限に抑えましょう。収納時には適度に隙間を空け、冷気の吹き出し口を覆わないように注意しましょう。

冷蔵庫には放熱装置が搭載されており、温まった空気を外へ排出する必要があります。放熱がスムーズに行えないと冷却力が低下してしまうので、放熱装置をふさがないように冷蔵庫の置き場所を考えましょう。

冷蔵庫の上に電子レンジなどを置く方もいるかと思いますが、放熱を妨げてしまう可能性があるので、ものを置かないことをおすすめします。また、ホコリも放熱の妨げとなってしまうので、適度に掃除を行いましょう。

冷蔵庫の扉は、メモやチラシなどを貼っておくのにちょうどいいスペースなので、マグネットなどで貼り付けてしまいがちです。しかし扉に貼り付けることも、冷蔵庫内の温度上昇を引き起こす原因となってしまいます。

製品によっては、扉に冷却熱を放熱する役割があります。扉に何か貼ってしまうと、放熱を妨害することになってしまいます。何も貼らないことで、スッキリと見栄えも良くなります。

製品によって場所は変わってきますが、冷蔵庫の奥には冷気の吹き出し口が設置されています。冷蔵庫内の冷風を循環させている吹き出し口を食材でふさいでしまうと、温度が下がらず冷えが悪くなってしまいます。

冷蔵庫内の温度が上がってしまい、下げようとするとその分余計な電気代がかかってしまいます。また、吹き出し口近くに食材を置くと、必要以上に冷え過ぎてしまうことも考えられます。吹き出し口の周りはきれいにしておき、食材を置かないようにしましょう。

健康に直結する食材は、少しでもよりいい状態を保ちたいですね。冷蔵庫は常に電源を入れ続けているので、温度調節を適切に行えば節電にも繋がります。これまで冷蔵庫の温度を気にしていなかった方も、今回ご紹介した有効な対策をぜひ実践してみてください。