冷蔵庫の不調はコンプレッサーが原因？頻繁に作動するときは？防音・振動音対策も

冷蔵庫は、食材を冷やしたり氷を作ったりと生活の中でも必需品です。しかし、長く使っているとトラブルに遭遇する場合があります。毎日使う冷蔵庫だからこそ、急に調子が悪くなると困ってしまいますよね。

冷蔵庫のトラブルの中でも多いのが「冷蔵庫が冷えない」「床に水がこぼれる」などです。実はこのトラブルは、冷蔵庫のコンプレッサーが原因の可能性があります。コンプレッサーに異常があると頻繁に作動し、そのたびに振動音も気になります。しかし冷蔵庫のコンプレッサーといってもどのようなものかわからない方も多いです。

そこで今回は、冷蔵庫のコンプレッサーについて徹底解説します。コンプレッサーの役割や、よくあるトラブルなども詳しく説明します。さらにコンプレッサーのトラブル対策におすすめの制振材など防振・防音対策グッズも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

冷蔵庫が冷える仕組みは「気化熱の利用」です。気化熱とは、液体が気体に変化する際に、周りの熱が奪われる現象を指します。これを繰り返し、冷蔵庫の中の熱を別の場所で放出・冷却し、冷蔵庫内が冷やされています。

冷蔵庫が冷える仕組みは、以下のような流れです。

1. コンプレッサーで冷媒を圧縮して、高温で高圧の気体に変化する
2. 気体になった冷媒を、コンデンサー（放熱器）を通し、液体に変える
3. 冷媒の圧力を下げて気化させ、ここで気化熱が発生して冷える
4. 冷気をファンなどで冷蔵庫の内部に行き渡らせる

冷媒は以前まではフロンが使われていましたが、地球温暖化対策など環境保護の観点から、今ではフロンを使用しない「ノンフロン冷蔵庫」が増えています。

冷蔵庫のコンプレッサーは、冷媒を圧縮する役割があります。圧縮機とも呼ばれていて、冷媒が液体から気体に変化するサイクルに必要不可欠な部品です。コンプレッサーは常に作動しているわけではなく、オンとオフを自動で繰り返しています。

無音だった冷蔵庫から音が出始めたときは、コンプレッサーが自動で作動している状態です。最近の冷蔵庫は、コンピューターでコンプレッサーの動きを制御する「インバーターコンプレッサー制御機能」が付いたものも増えています。

冷蔵庫のコンプレッサーは、通常冷凍庫に装備されていて普段は目にしませんが、冷蔵庫の心臓部分と言えるほど重要な部品です。コンプレッサーに不具合が生じるとさまざまなトラブルが起こりやすくなるだけでなく、故障の原因にも繋がります。

冷蔵庫の中にはコンプレッサーを使用していないものもあります。アンモニアの気化熱を利用した「吸収式冷蔵庫」やペルチェ素子の性質を利用した「ペルチェ式冷蔵庫」はコンプレッサーが使用されていません。

コンプレッサーが使用されていないタイプは小型の冷蔵庫に多く、病院の病室やホテルの客室に使用される場合があります。コンプレッサー音がしないので、音が静かなのが特徴です。業務用として利用される場合が多いため、一般家庭ではほとんど見られません。

コンプレッサーは一般的には、野菜室や冷凍室の奥に設置されており、コンプレッサーがある場所は変形しています。ほとんどのメーカーは野菜室か冷凍室にありますが、パナソニックのワンダフルオープン搭載機種はコンプレッサーが上部に設置されています。

そのため、下段引き出しの奥行きが広く大容量になっているのが特徴です。上段奥のデッドスペースが減るため、奥に置いた食材も取りやすく、使い勝手に特化した形になっています。食材の出し入れの多い主婦の方にはこのタイプが人気です。

冷蔵庫のコンプレッサーは庫内の温度を一定に保つため、オンとオフを繰り返しています。コンプレッサーは頻繁に作動したり停止したりしているので、気温の高くなる夏や食品の出し入れが多いとき、冷蔵庫を設置した直後は音が大きくなる場合があります。

フローリングや硬い材質の壁の場合、周りに反響して音が大きくなる場合もありますが、通常のモーター音が大きく聞こえる程度であれば、問題はありません。そのような場合は防振マットなどを使用して音の反響を抑えると解消できます。

しかし、明らかにいつもと違ううるさいモーター音や、冷蔵庫自体が大きく振動する場合は、故障の可能性があります。異音や振動が長く続く場合は、修理や買い替えを検討しましょう。

「モーター音がしなくなった」ときもコンプレッサーの異常のサインです。コンプレッサーが動かない・モーター音がしない原因は以下が考えられます。

• 温度調節機能が作動……冷蔵庫は庫内の温度が一定に保たれるように温度調節機能があります。庫内の温度が低下している場合、コンプレッサーが自動で止まるようになっており、冷却が一時的に停止します。しばらく様子を見て、再びコンプレッサーが動き始めたら正常です。
  
  
• 自動霜取り機能の作動中……自動霜取り機能が付いている冷蔵庫は、霜取りを作動するときにコンプレッサーが止まる場合があります。霜取りが終わればコンプレッサーはまた動き始めるので、しばらく様子を見ましょう。
  
  
• 熱リミッターが作動……コンプレッサーには「熱リミッター」といった機能があり、熱を感知すると火災防止のため自動で電源が切れます。コンプレッサーが冷えれば再び動き始めますが、コンプレッサー自体が発熱して熱リミッターが作動している場合はコンプレッサーの故障の可能性があります。

コンプレッサーを長持ちさせるには、極力コンプレッサーに負担をかけない点が大切です。以下の3点を意識して、コンプレッサーの寿命を縮めないよう心がけましょう。

• 庫内に食品を詰め込みすぎない
• 開閉の回数をできるだけ減らす
• パッキンは定期的に掃除する

詰め込み過ぎるとよりコンプレッサーがフル稼働するので、結果的に負荷がかかります。また、庫内の冷気を逃がさないようにするのがコンプレッサーに負荷をかけない秘訣です。

冷蔵庫のコンプレッサーが故障した場合、業者に依頼して修理できます。冷蔵庫の場合は大きな家電なので、自宅に来てもらい修理をしてもらいます。修理や部品交換を依頼する場合、部品代だけでなく工事費や出張料などがプラスでかかるので、事前に確認しておきましょう。

依頼先は販売店かメーカーの相談窓口がコストを抑えられる場合もあり、保証期間内であれば保証で直すのも可能です。また、近所の電気屋さんや専門業者に依頼もできます。見積もりを出してもらってから、修理や交換を検討してください。

冷蔵庫の修理は機種やメーカーによって修理代が異なるため、正確な見積もりを出してもらう必要があります。コンプレッサーの交換は、部分代金・配送料・出張費・人件費などを含めて、5万円ほどが目安になります。

冷蔵庫の買い替え時期の目安は10年前後になります。実際、10年前後で修理が必要になってくるケースが多く、メーカーの保証期間も10年が多いです。メーカーによっては8万円ほどかかる場合もあるので、長期保証に入っておくと安心です。

冷蔵庫のコンプレッサーは業者に依頼すると高額になるため「自分でできる分解・修理方法はある？」と考える人も多いです。たしかに、自分で分解して修理ができたら楽ですよね。しかし、冷蔵庫のコンプレッサーは一般に向けて販売しているものはないので、自分で交換・修理・分解はできません。

また、他の冷蔵庫からコンプレッサーだけ取り出して交換するのもやめましょう。交換や修理の作業には知識や技術が必要です。自分でできるものではないので、必ずメーカーや業者に依頼してください。

コンプレッサーを交換する場合、修理代金によっては買い替えの方が安くなる場合もあります。基本的にコンプレッサーや圧縮機の修理は、他の部品よりも修理代金が高くなります。必ず見積もりを出してもらってから、修理か買い替えかを検討するのがおすすめです。

また、メーカーの冷蔵庫の部品保有期間は生産終了から9年が一般的です。メーカーの長期保証期間ないであっても、部品保有期間を過ぎていたら修理自体ができなくなるので注意してください。

コンプレッサーは正常に運転している際にも、定期的に音・振動を発するものです。普段は気にならない音も、就寝時や静かに集中したいときには邪魔に感じる場合もあります。ここでは、コンプレッサーによる騒音の対策方法をご紹介します。

コンプレッサーは音を発すると同時に振動もしているため、冷蔵庫に何かが触れていると振動音が大きくなってしまいます。上に物を置いたり壁に接触している場合は、上のものを別場所に移動したり、壁から離したりしましょう。

また、冷蔵庫と壁が近すぎると熱がこもりやすくなり、コンプレッサーが必要以上に動いてしまいます。それに伴い音も大きくなるので、冷蔵庫周りは基本的にすっきりさせましょう。

冷蔵庫から大きい音がする場合は、防振マットで対処可能です。モーター音は減少させられませんが、振動音を抑えてくれるため床や壁に音が響くのを防げます。

通常は冷蔵庫の下にマットを敷くだけなので、特別な工事も必要なく簡単に設置できます。また、マットを敷くと防振・防音だけでなく、耐震の効果もあるので地震対策としてもおすすめです。

防振マットはダイソー・セリア・キャンドゥなどの100均やホームセンターでも購入可能です。防振だけでなく、防音や耐震効果も備わったタイプがあります。ただ100均商品はほとんどが小さめのサイズなので、大きいサイズを求めるならホームセンターやネット通販をチェックしてみましょう。

冷蔵庫のよくあるトラブルで、電源が入っていないケースがあります。電源が入っていなくて冷蔵庫が動かず、故障だと勘違いしてしまいます。小さなお子様やペットのいるご家庭では誤って抜けてしまったり、掃除中に引っかかって抜けたりする場合もあるので、気を付けましょう。

また、自宅のアンペア数が越えてブレーカーが落ちてしまった場合や、コンセント自体の接触不良で冷蔵庫が動かなくなる場合もあります。冷蔵庫が動かなくなったときには、まずは電源の状態を確認してください。

冷蔵庫のトラブルの原因になるのが「霜」です。ほとんどの冷蔵庫には「自動霜取り機能」が付いていますが、その機能が追い付かないほど霜が付いてしまう場合があります。送風口に霜が付いていると冷蔵室と冷凍室どちらも冷えなくなるので気を付けましょう。

送風口に霜が付いている場合、自分でも霜を取れます。まずは冷蔵庫の電源を切って中身をすべて出し、しばらく放置して様子を見てください。霜が溶け始めたら削って取っていきます。もし霜の量が多くて時間がかかる場合は、電源を切って中身をすべて出したあとに、全体にドライヤーの風を当てて溶かします。

ただし、温風を当てると冷蔵庫が変形する可能性があるので、冷風を当てるようにしてください。ある程度溶けたら霜を削って落とします。霜を取ってもまたすぐに付いてしまう場合は、霜取りセンサーが故障している可能性があります。

冷蔵庫が冷えなかったり霜が付いてしまう場合、ドアパッキンが劣化している可能性があります。冷蔵庫をしっかり閉めていてもドアパッキンが劣化していると隙間ができてしまいます。

ドアパッキンが劣化していると隙間から暖かい空気が入り込みやすく、コンプレッサーに負担がかかるため故障の原因になります。ドアパッキンの劣化は自分で確認もできるので、まずはチェックしてみましょう。

ドアを閉めた状態でパッキンに紙を挟みます。通常は紙が入りにくい状態ですが、劣化していると紙が入るぐらいの隙間ができています。その紙が滑り落ちるほどであれば冷蔵庫の交換時期といえるので、買い替えを検討しましょう。

冷蔵庫は常に外部へ熱を放出しているので、冷蔵庫本体の表面は多少熱くなります。コンプレッサー部分は状況によっては50℃ほどに達するため、熱を持つ場合は珍くありません。

それ以上に表面が熱い場合は、設置場所に問題のある可能性があります。冷蔵庫を壁とぴったり付けていたり、冷蔵庫と家具の隙間に物を置いていたりすると、冷蔵庫が放熱できず本体が熱くなります。

冷蔵庫の側面の隙間が十分に確保できていないとコンプレッサーに負担がかかるだけでなく、消費電力も多く使います。日常的に側面の温度はチェックするようにし、設置スペースの隙間は確保してください。

冷蔵庫のコンプレッサーは、故障すると修理や買い替えで大きな費用が掛かってしまいます。しかし、日ごろのお手入れで冷蔵庫のコンプレッサーの寿命を延ばせます。無理のない使い方でお手入れを定期的に行い、コンプレッサーの故障を防ぎましょう。